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エコ馬に乗れ

地熱を利用し快適な冷暖房を・旭化成ホームズ(08/09/29)

滝順一(たき・じゅんいち)
日本経済新聞編集局科学技術部編集委員。ワシントン支局、大阪編集局経済部編集委員などを経て07年より現職。地球環境問題などを担当している。ちなみに「エコうま」とは、エコな勝ち馬に乗って、環境理想郷「エコトピア」を目指そう、というメッセージをこめた

 年間を通じて温度変化が少ない地面の下を熱源として利用し冷暖房や給湯を提供する地中熱ヒートポンプに期待が集まっている。家庭やオフィスの消費電力を減らして二酸化炭素(CO2)排出抑制につながるだけでなく都市のヒートアイランド現象の緩和にも役立つからだ。旭化成ホームズは地中熱と冷房排熱を組み合わせ、冷暖房と給湯に使う戸建て住宅用量産システムを来年から国内で初めて発売する。同社の江原克実・技術・購買部技術部課長に開発の狙いや今後の展望を聞いた。

 ――開発の経緯は。

 「2006年度に環境省の助成を受けて旭化成ホームズと日立アプライアンス(東京・港)、日立空調SE(静岡市)とで共同で取り組んだ。北海道大学の長野克則教授からは技術的なアドバイスを受けた。その報告書を昨年公表したところ『いつ商品化するのか』『売ってほしい』など問い合わせがあった」

旭化成ホームズの江原克実・技術・購買部技術部課長

旭化成ホームズの江原克実・技術・購買部技術部課長

 「地球温暖化によって100年間で0.6〜2度くらい平均気温の上昇が予測されるが、東京の都市部の気温は100年で5度上がったといわれる。緑地が減り地表が人工物で覆われる一方で、自動車や空調で排出される熱が増えてきたからだ。都市部ではヒートアイランド現象がより深刻な問題だ。地中熱は温暖化対策だけでなく、都市部のヒートアイランド対策として期待を集めている」

 「地下3メートル以上の深さでは北海道の冬でも温度はセ氏15度くらい。ヒートポンプで熱をくみ上げれば効率的に暖房できる。夏場も地中は同じ温度なのでエアコンの熱を地下に逃がせる。大気中に熱を出す既存のエアコンだと、外気温をより熱くしてしまう悪循環を地中熱ヒートポンプなら避けられる」

 ――欧米では地中熱利用はかなり進んでいるそうですが、なぜ日本はあまり普及しないのですか。

ヒートポンプ装置本体の写真(旭化成ホームズ提供)

ヒートポンプ装置本体の写真(旭化成ホームズ提供)

 「コストが課題だ。例えば日本ではヒートポンプを埋設する穴を掘る費用が欧米に比べ高い。深さ1メートル当たり1.5万〜2万円とされ、地中熱ヒートポンプ用に60〜100メートルもの穴を掘ることが多いので、それだけで100万〜200万円もかかる」

 「そこで私たちは建物の支持坑をヒートポンプ用に転用することと、住宅用に小型のヒートポンプの開発を考えた。当社の住宅『ヘーベルハウス』は軟弱地盤に建てる際、独自の鋼管を土台の下に埋設する。6〜10メートルの鋼管を小型重機で回転させながら埋め込むため打設に伴う騒音や残土が出ない」

「当初はこの支持坑の中にヒートポンプを入れることを狙った。結果的にはこれは断念し、別個に鋼管を埋め込む方式にしたが、従来に比べ安くて施工しやすい埋設が可能になった。また日立製の量産段階にあるヒートポンプ式給湯器(エコキュート)やエアコン室内機と組み合わせることで、機器価格や施工費用を極力抑えることに努めた。さらに冷房時の排熱を給湯の熱源として利用できるようにした」

地中熱ヒートポンプ冷暖房・給湯システムの概念図

地中熱ヒートポンプ冷暖房・給湯システムの概念図

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