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温暖化科学の虚実 研究の現場から「斬る」!(江守正多) 太陽活動が弱くなっている?――温暖化への影響は(09/05/27)
こんにちは、国立環境研究所の江守正多です。先月から今月にかけて、「太陽活動が弱くなっている」というニュース(例えばNHKやナショナル・ジオグラフィック)を見た人がいらっしゃるかもしれません。太陽から地球に降り注ぐエネルギーの量が減れば、それはもちろん地球の温度を下げる効果を持ちますから、地球温暖化と大いに関係がある話です。僕は太陽研究の専門家ではありませんので、「研究の現場から」という意味ではこの話題は少し慎重に扱う必要があるのですが、この機会に僕なりの説明を試みたいと思います。 まず、太陽の活動は11年前後の周期(太陽周期)で強弱の変動を繰り返していることがよく知られています。活動が活発なときは太陽の表面に黒点(周囲より温度が低いため黒く見える部分)や白斑(周囲より温度が高いため白く見える部分)、フレア(太陽の表面で発生する爆発現象)などが多く観察され、太陽から地球に降り注ぐ日射エネルギーの量も増えます。そしてプラズマ(電気を帯びた粒子)の流れである「太陽風」も強くなります。 逆に不活発なときは太陽の表面は静かで、地球への日射エネルギーも太陽風も弱くなります。現在の太陽活動はこの太陽周期の変動の極小期にありますが、前回の極小期から11年を過ぎてもなかなか活動が回復傾向を見せないことが、ニュースになっているわけです。
太陽周期の変動による地球への日射エネルギーの変動の振幅は平均値の0.1%程度です。この変動は、地球の高度およそ10キロメートル以上の成層圏など高層の大気に明瞭な変動をもたらすことが知られていますが、私たちが住んでいる対流圏の気温に及ぼす影響は大きくありません。
しかし太陽活動の変動には、この11年前後の太陽周期よりも長期的な変動が重なっています。地球の対流圏の気温に長期的な変動をもたらすのは、こちらの方です。例えば、17世紀にはマウンダー極小期といって太陽活動が数十年にわたって不活発だった時期があることが黒点観測などからわかっています。このような太陽活動の長期的な変動の大きさはまだ推定にかなり幅がありますが、1750年から現在までに地球が吸収する日射エネルギーが地表1平方メートル当たり0.06〜0.3ワット程度増加したと考えられています。 ちなみに、同時期に大気中の二酸化炭素の増加が地球大気に対して余分にもたらしたエネルギーは地表1平方メートル当たり1.7ワットほど。日射エネルギーの長期変動がもたらす影響は、二酸化炭素に比べてかなり小さいことがわかります。 ところが、太陽活動が地球の温度に与える影響は、もっと複雑な可能性もあります。たとえば、十数年前からデンマークのスベンスマークという人が提唱し始めた以下のような説があります。地球には太陽系外からの「宇宙線」(高エネルギーの粒子のことです。「宇宙船」ではありませんよ)が降り注いでいるのですが、太陽活動が活発になると太陽風が強くなり、宇宙線が地球に入りにくくなります。
ここまでは誰でも認める話です。スベンスマークの説が独特なのは、この宇宙線が地球の雲のでき方をコントロールしているという点です。地球に入る宇宙線が減ると、雲粒の核ができにくくなって、雲の量が減り、雲による日射の反射が減り、地球が吸収する日射の量が増えるとされます。したがって、この説が正しければ、太陽活動が活発なときには日射エネルギーの増加だけでなく雲の減少を通じても地球の温度を上げる効果があるというわけです。 ※ ご意見・ご感想はこちらのリンク先からお送りください。ご氏名やメールアドレスを公表することはありません。 「温暖化科学の虚実 研究の現場から「斬る」!(江守正多)」最新記事
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