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温暖化議論の最前線と科学(近藤洋輝)

中国代表団が反発した、温暖化の「科学的根拠」の確実性(07/06/18)

近藤洋輝(こんどう・ひろき)
海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター特任上席研究員
東大理学系大学院地球物理学専攻。気象庁で気候変動についての研究などに従事。2007年から現職。IPCC第1作業部会に、同部会の国内支援事務局を代表して参加した。

 気候変動に関する国連の政府間パネル(IPCC)の会合は、世界中の最新の専門知見をまとめる場と位置づけられている。「科学的根拠」に関するパリ会議などには、各政府の代表団に科学の専門家を入れることが求められているが、実は必ずしもその通りとなっているわけでない。国によっては科学ではなく条約交渉の専門家が入って強い主張をする場合があり、全会一致による採択が原則となっているIPCCでは、しばしば合意形成が困難になる場面に出会う。

■1行ごとに細かく表現を検討

 先日のドイツ・ハイリゲンダムでのG8サミットは地球温暖化対策について「温暖化ガスの排出量を2050年までに半減する」という日本・欧州連合(EU)・カナダの提案を「真剣に検討する」ことなどの成果をあげた。この成果の大きな背景の一つとなったのが、IPCCが2月のパリ会議で完成させた、第4次評価報告書(AR4)の「科学的根拠」だ。

 IPCCは、この「科学的根拠」について各国の科学者が作成した学術的な評価報告書の内容をまとめた「政策決定者向け要約(SPM)」の原案を1行1行、詳細に検討した。必要な修正を加えて承認されたこのSPMの全般的特徴は、科学的知見についての信頼度が大きく増したことにある。(日本は信頼度向上に先端的・中心的に貢献しており、その内容については別項で詳しく述べたい)

<図1>

 内容的な第1の特徴は、近年の地球観測技術や、過去の気候の解析研究、気候モデルでの気候再現実験による裏づけなどから、「地球システムの温暖化には疑う余地がない」と、温暖化がはるか遠い先の話ではなく、現実に進行していることを初めて断定したメッセージを発した点にある。図1は、観測から得られた気温(世界平均地上気温)、海面水位、および北半球の雪氷面積の変化だ。気温については、実感からもうなずけるが、2006 年までの過去12年間のうち11年は、記録の中で最も温暖な12位に入っている。

 前回のIPCC第3次評価報告書(TAR)によると、2000年までの100年間の気温上昇は0.6度であったが、わずか5年後の2005年までの100年間では、0.74度の上昇である。近年になるほど上昇が加速していることがわかる。海面水位についても、同様の傾向が見られる。また、図1は北半球の雪氷面積の変化を示しているが、南北両半球とも山岳氷河と積雪面積の平均は縮小している。アルプス氷河の後退や、キリマンジャロの雪の消失などが目立ってきている。

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