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日経エコロミー

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マエキタ式エコ・コミュニケーション術(マエキタミヤコ)

新エネルギーのイニシアチブをもう一度(07/08/03)

マエキタミヤコ
1963年東京生まれ。コピーライター、クリエイティブディレクターとしてNGOの広告に取り組む。02年広告メディアクリエイティブ[サステナ]設立。「100万人のキャンドルナイト」呼びかけ人代表・幹事。上智大学、立教大学非常勤講師。

 この夏休み、ひょんなことから、「日本が世界の新エネルギーのイニシアチブをとる」と書かれた13年前の論文「21世紀のエネルギービジョン」を発見しました。「東京イニシアチブ」(京都プロトコルに似てますね)と呼ばれ、日本は21世紀の無炭素エネルギー世界に一番乗りを果たし、世界を太陽光・水素経済へ急速に転換させ、21世紀のサウジアラビアになるだろうというのです。

 ハワイのコナにジンジャーヒル・リトリートセンターというパーマカルチャーの学校があって、ヨガをしたり、絵を書いたり、メディテーションをしたり、お料理教室したり、シュノーケルでダイビングをしたりするのですが、そこに1週間、子どもを連れて参加をしています。その校長先生(小田まゆみさんという66歳の画家)が持っていたのが、この論文でした。

 論文は1975年から83年にかけてカリフォルニア州知事として先進的な環境技術優遇政策を導入したジェリー・ブラウン氏のご意見番だったタイロン・キャッシュマン(Tyrone Cashman)博士によって書かれました。3カ月間調査に費やし、世界中で発表されている論文を読み作られたもので、94年に新エネルギー財団の講演で発表されたそうです。

 いったいどんな根拠で書かれたのでしょう。13年前こんなに世界を期待させた日本はそれ以降どうなったのでしょう。そして今から東京イニシアチブをとることはできないのでしょうか。

■先進国でも途上国でも使える新エネルギー

 ざっと論文をたどってみましょう。「再生可能エネルギー源がやがて化石燃料にとって変わる、ということを疑う人はいない」という断言は94年6月18日のロンドン「エコノミスト」誌から。この再生可能エネルギー資源というのは、太陽、風、地熱、バイオマス、小規模水力、波力、潮力のことです。「世界のエネルギーシステムは燃料を求めて地球を掘り返す経済から、海や空を含めて地球を取り巻くエネルギーの循環や温度差をうまく捕らえるための道具を作る経済に変わるでしょう」。

 その流れはふたつあって、ひとつは途上国のもの。もうひとつが先進国のもの。途上国については具体的な例が上げられています。

 「この1年半で、途上国に小規模太陽光発電システムの巨大市場が突如出現しました。モロッコでは3メガワット(3000キロワット分)、6万枚の太陽光発電パネルが地元の起業家たちによって、オープンバザーでパネル1枚ずつ現金で販売されました。1メガワットの電力はパネル2万枚に相当。南アメリカや南アジアでも同じような方法がとられています。太陽光発電は、現在利用可能な再生可能エネルギー発電の中で最も高価なものですが、世界の貧しい人々にとっては、今あるものより安いのです。

 例えば北東ブラジルのアラゴアスという非常に貧しい地域では、平均的な家庭が灯油と乾電池に年間250ドルも払っています。年間250ドルあれば、2年ローンで蓄電池つきの完全な太陽光発電システムを買うことができます(!)。このシステムは夜間4時間、5個の電灯とラジオと白黒テレビに十分な電力を供給します。これは大きな進歩です。世界には電気のない人々が20億人います。彼らのほとんどは太陽光発電なら喜んで払うかもしれません。歴史上、これほど大きな市場が突然生まれたことはほとんどありません」。

 私も去年、ネパールのUNHCRの難民キャンプで働く友人から、ソーラーエネルギーの写真を送ってもらったことがあります。この状況は13年間着々と進んできたのではないでしょうか。

水車を回して発電用モーターを動かす釣り堀センターの発電所(長野県大町市)

 先進国の新エネルギーイニシアチブを日本がとる根拠は、日本の技術力、温暖化防止への取り組み、省エネ技術、省エネコンサルティング力、メジャーオイルの政治的影響力から比較的自由だということ。

 さらに当時の日本の発電能力の2.5倍(!)といわれた高温岩体発電にも言及しています。「高温岩体の地熱発電への研究開発資金を大幅に増やせば、日本国内に大きなエネルギー資源が見つかるかもしれません。北海道と本州の4300平方キロメートルの地域が高温岩体の井戸に適した条件を持っているそうです(1992年電中研ニュース)。2000メートルから4000メートルの深さまで掘ることによって、約40万メガワットの発電が可能。この発電力は日本全体の発電能力の2.5倍。この電力の予測価格は、キロワット時あたり13円でした」。

 13年後の現在、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)のホームページを見ると、高温岩体発電は「2000年11月27日に山形県大蔵村肘折(ひじおり)で実験を開始、02年4月末時点で、稼働率約90%(450日以上)、坑口温度130℃以上、回収率60%(蒸気2t/h、熱水34t/h)を記録、02年6月5日からは、循環抽熱実験の最終段階として高温岩体システムの発電能力を検証するために約3ヶ月間の発電試験を開始し、6月中旬時点において、平均出力約50KWを記録」。こんなに夢のような新技術が一般的にはあまり知られていないなんて、もったいない。国の重要エネルギー政策になっていないのは、技術的に問題があったからなのでしょうか。税金を払い、選挙権を持っている日本の大人である私たちは、電力需要の2.5倍もの潜在発電能力を持つといわれる地熱発電が国策にならない理由を、子どもたちに説明できるくらい理解していたいものです。

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