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森と人の懸け橋(稲本正)

CO2吸収の主役は本当に森なのか?(08/03/14)

稲本正(いなもと・ただし)
オークヴィレッジ代表。1945年生まれ。「100年かけて育った木で100年使えるものを作る」を合言葉に、74年、飛騨高山工芸村「オークヴィレッジ」を創設。トヨタ白川郷自然学校・前校長、日本環境教育フォーラム常務理事など兼任。主著に「森の惑星」「心に木を育てよう」など多数。

「森林とCO2吸収の関連性について」の質問を読者から多数いただき、このコラムで前回前々回の2回にわたり紹介した。質問の内容を一言で言えば、「日本はCO2吸収のための森林整備をどのようにしているのか?」。果たして国策はどのように計画されているか、あるいは進められているか、私は読者の質問を林野庁に投げかけ、回答された内容を原文のままコラムで紹介した。

 昔の林野庁であれば、まずこのような質問には「その件に関しては『林野広報』などに書いてあるのでそれを読んでください」とつれない回答で終わったであろう。今回2度にもわたり、なにしろ一生懸命に答えてくれたので、それはやはり評価しても良いだろう。

 しかし、回答には一般国民にはまだまだわかりにくい箇所が多い。そこで今回は森林とCO2吸収の問題を、その根本からひも解くことから始めよう。

■「森林によるCO2吸収」はなぜ認知されていない?

 なによりも、京都議定書において日本は「CO2の6%削減」を約束し、そのうちの3.8%(3.9%と最初は計算していた)を森林による吸収で賄おうとしているわけだが、この計画自体が国民全体に浸透しているとは思い難い。まず、これが一番の大問題である。人々は「知らないことには対応できない」、この当然の理屈をよく理解するなら、国は「森林によるCO2吸収」について国民にもっともっと知ってもらうよう努力すべきである。ところがその第一歩から、うまくいっていないのである。

 どうしてだろう? ここから解き明かせば、国と言うのは、官庁によって例の「縦割り」テリトリー意識がやはり強いのか、マイナス6%のうち【2.2%のCO2排出削減】については主に環境省が広報をし、【3.8%のCO2吸収】については林野庁が広報を行う、という役割分担を決めている。無論この役割分担は、国民がぜひそうして欲しいと望んだものではない。しかし、官公庁は何故かしっかりとテリトリーを守りたがり、これは、いわば一種の遺伝子のようなものが働いているらしい。

 

 現に、【2.2%】の方である環境省は、「ウォームビズ」とか「クールビズ」とか、「電気をこまめに切ろう」「お風呂の湯量を控えよう」「自家用車より電車やバスの公共交通機関を」などと必死に広報活動を展開しているが、しかしそこには林野庁の【3.8%】の森林による吸収は意識されていない。環境省にすれば、森林によるCO2吸収は、自分たちの範疇外と思っている節がある。

次ページ>>環境省と林野庁の「原生林」を巡る認識の違い

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